病名がないという病気

いつも通り会社に向かうために、起きたのはいつもより少し遅い時間で。眠ったのはそこまで遅くなかったけれど、一度早い時間に目が覚めてからは30分ごとに目が覚めてしまっていて、あまり良い寝起きじゃなかった。けれど、なんてことない平日のいちにち。曇りがちな空が生む憂鬱な気が部屋にまで流れ込んでいたけど、それくらい。


「あ、行きたくない」と思ったが最後、堰を切ったように涙がボトボトと溢れて止まらなくなった。上手に呼吸もできない。息を吐こうと思えば涙が同じように吐かれる。


今日、会社を休んだ。正確には、行けなかった。多分4ヶ月前に転職して2回目か3回目。ほんとうに社会人を全うできない。転職先はわりと遅刻早退にフラットで、欠勤の連絡もメールひとつで済む。その環境に甘えている自分が腹立たしくて、情けなくて、でもどうしようもなくて。


自分の症状を検索すれば、いくつかの病名がヒットする。うつや気分変調症のたぐい。でも、そのどれもが当てはまっていて当てはまっていない。ただわかっていることは、前職のときのように明らかな原因があって引き起こされた気持ちより、いま抱いている気持ちのほうがずっと厄介だということ。きっと病院に行ってもあのときと同じ薬を処方されるだろうけれど。


「じゃあ、仕方ないね」と思われるための理由が欲しい。わたしのこの不安や苦しみや行き場のない言葉にし難い感情がきちんと救われて報われるだけの明確な答えが欲しい。


毎日はそんなわたしを御構い無しにびゅんびゅんと過ぎていく。眠って起きたら朝がくる。当たり前すぎて当たり前なことも忘れてしまうくらい、毎日は普遍的だ。あなたの彼女が酔った勢いで元彼に連絡しても、あなたの彼氏が他の女の子の自撮りにいいねしても、だ。


「大人になってからのほうが楽しいことがあるよ!」と、わたしは昔のわたしに胸を張って言えるだろうか。